恐ろしいのは死霊ではなく、生きている人間
宮部さんは、現代が舞台の小説もおもしろいですが、
江戸時代物になると、本領発揮という感じです。
人間の心の奥のどろどろと江戸時代のおどろおどろした世界と。
話の展開に無理がある、論理的でないという感想も多いようですが、
人間の感情自体が、論理的ではなく、
わがまま身勝手なのですから、これでいいのだと思います。
恐ろしいのは死霊ではなく、
生きている人間の妄執がそれを呼び寄せるのだということと思います。
たぶんシリーズ化されるのでは?というラストでした。
続編、楽しみにしてます。
|
期待しすぎなのだろうか…
面白くないわけではない。
宮部さん独特の「ずっと登場人物たちの生活を見続けたくなる」ような書きっぷりも健在だと思う。
でも、「ぼんくら」、「日暮らし」、「あかんべえ」、「孤宿の人」など最近の江戸もの長編の珠玉の出来に比べるとどうしても劣る。かなり劣る。
他の作家が書いたのなら星4つかもしれない。
期待していた分、そして前半からのめりこんで読んで、これをどう収めるのだろうとわくわくして読んだ分、後半の子供だましのような展開と結末にがっかりしてしまった。
|
お子様向けの幼稚な怪談
「家の光」に連載された作品。そうなのか、と思う。
忌まわしい過去をもち、実家から叔父叔母の家に預けられている少女・おちかが聞く不思議な話を、百物語として連作にした作品であるが、本書の全体がひとつの大きな物語になっている。第2話の「凶宅」の出来がもっとも優れ、私は戦慄した。いつもながら文章は巧い。
しかし全体としては、失望したと言わざるを得ない。これは文字通り「子ども騙し」であり、大のおとなが感心して読む作品とは思えなかった。とくに最後の「家鳴り」には失笑するしかない。怪談を語るなら、現代には現代の方法がある。非論理的・荒唐無稽な物語であれば、それにリアリティをもたせる工夫が必要であるが、そんなもの最初から無視したような、むちゃくちゃな設定とご都合主義のストーリーである。これが20万部?一般的な日本人の、文学に対する嗅覚はそこまで落ちているのか。
|
変わり百物語オープニング大作
一日一人の客人が訪れ、不思議話をしていくという百物語シリーズの開幕宣言編。だが本編でも、4つの怪異がダイナミックに関わり合って、大団円に向かっていく。一話に一つの怪異というわけでもなく、連作短編というより長編である。
しかも、異世界への案内人ともいうべき怪人が最後にその存在を宣言し、今後のシリーズ化をほのめかしている。
恐ろしいのは死霊ではない。生身の人間の妄念・生き霊がよりしろとして力を貸すからだ。恐ろしいものは外から来るのではない。単なる怪異話とは、そこが違う。
|
宮部さんの筆力の高さが見られるが、最終話がちょっと…
背景の描写の繊細さ、主人公:おちかや、おちかに物語を聞かせる人々のもつ「心の闇」の、読み手にせまってくるようなリアルさ、どれをとっても、宮部みゆきという作家の筆力の高さを思い知らされます。
しかし最終話は、おちかの心の闇とおたかの心の闇が、つながりを持つという設定に強引さを感じましたし、おちかが非現実の世界に足を踏み込む部分では、話運びに子供っぽさを感じました。
|